Rainbow Heights Club

一人じゃない!仲間と一緒に進んでいける空間

【訪問団体】

【団体概要】

Rainbow Heights Clubでは精神疾患を抱えたLGBT一人ひとりが希望を持って生きていけるような、安心で快適な空間とサポートを提供することを目指している。国内で唯一の政府から助成金を受けている精神疾患を患ったLGBTの人々のための団体。利用者は全てのプログラムが無料で利用できる。現在では500名以上のメンバーが在籍し、週5日オープンしている。また利用者には2ドルの補助がある(交通費等)。毎日夕食を1ドル(任意の寄付)で提供し、心理学者、セラピストがいない環境で、スタッフや他の参加者と交流する場を作っている。病院などでは「理解されないのではないか」という不安からカミングアウトできないLGBTに対して、クリニックではなく、「場」の提供に重点を置いている。

【印象に残ったこと】

訪問当日は、現在Rainbow Heights Clubに勤務をしている日本人のムサさんからお話を伺うことができました。最初に施設の中を簡単に案内してもらいました。驚いたことは利用者ができるアクティビティの種類と数の豊富さです。利用者の交流をはじめ、映画鑑賞会、料理教室、一対一のコンピューター教室、キャリアカウンセリング、ビリヤード、遠足、ビンゴやカラオケ大会など精神疾患と聞くと暗いイメージをもってしまいがちですが、それを吹き飛ばすような明るい雰囲気が印象的でした。また団体の方針の一つにPeer Modelというものがあります。これは仲間が精神疾患を克服していく姿を見せ合いお互いを認め合うことによって、メンバー同士で勇気をだして進んでいこうというものです。また2ドルの交通費補助や、パソコンが無料で利用できるなど、低所得者やホームレスへのサポートも充実していました。

 

施設見学の後には、スタッフと利用者で定期的に行うコミュニティーミーティングというものに参加させてもらいました。最初にミーティングのルールなどを参加者に口頭で読み上げてもらい、相手を不快にする発言はしないなどの共通理解を認識しました。その後に参加者各自が生活において目標としていることがどんなに小さなことでもいいから達成できているか?(前のミーティングからずっと禁煙している!etc..)、できていたらみんなで拍手して褒め称えるなどの自己肯定感を利用者同士で高める工夫がなされていました。その後には、過去に犯罪歴がある人でも投票ができるという社会記事を利用者全員でシェアしていました。

 

全体を通して感じたことは、スタッフが一方的なケアをしている施設ではないということです。例えば最初に述べたPeer Modelの存在や、コミュニティーミーティングの中で利用者が社会で必要な情報を共有していくなど、利用者への自立を促している団体という印象を受けました。あくまで病院ではないため、ここに来ることは強制でもなんでもありません。しかし、利用者のほとんどがスタッフ、メンバーが大好きであり、家族のような雰囲気の中で自分らしくあることで輝きを放っていました。実際、このRainbow Heights Club を利用した90%の利用者が病院での精神疾患治療をする必要はないという結果がでているように、この施設の雰囲気、そしてスタッフの豊富な知識とプロフェショナルな対応は、群を抜くものだと感じました。(ゆきと)