PFLAG

カミングアウトすることが大事なのではなくて、カミングアウトしようと思ったらできるような雰囲気が必要

【訪問団体】

【団体概要】

1992年にニューヨークでゲイの子どもを持つ親が立ち上がり結成されました。全米で最大のLGBTとその家族や親のための組織で国内に400以上の支部を持ち、メンバーは20万人以上在籍しています。

【アクティビティ】

PFLAG NYC Support Meetingに参加しました。ミーティングにはPFLAG運営スタッフ、常連の参加者と初参加者の方々が15人ほど集まっていました。ツアー参加者を含めて、LGBTの時事問題、祖父母へのカミングアウト、カミングアウトされた親の心境や「クィア」という表現について、Safe School Programや日本の宗教、結婚や男女間について一つの輪になって話し合いました。また、スタツア参加から日本でのLGBTカミングアウトと家族や親との関係性、自助団体の紹介を行いました。

【特徴】

米国では著名人のカミングアウトやTV・映画などでLGBT当事者の露出も増えてきていますが、そのLGBT当事者の周りにいる人の話を聞くことはあまり多くありません。そういった中、20万人という会員数を活かしてLGBTの家族や親の視点からカミングアウトの話を発信したり、悩みや苦労話をシェアしたりしているPFLAGの活動は非常に貴重だと感じました。

【印象】

カミングアウト至上主義ともとらえられることの多い米国ですが、PFLAGのExecutive DirectorであるDrewさんの一言が印象に残りました。「カミングアウトをすることが大事なのではなくて、カミングアウトしようとおもったらできるような雰囲気が必要なのです。」カミングアウトを安易に勧めるのではなく、本人がしたいと思ったら、そう行動に移せるような環境作りを目指す、LGBT当事者に寄り添う、家族や親ならではの団体の精神だと思いました。

【感想】

PFLAGではSafe School Programというプログラムで学校に訪問して講演やワークショップを行っています。当事者の話を聞くことや、彼らが声を上げられることも重要ですが、非当事者からしたら、あるいは自分のことが受け入れられない当事者に対して、カミングアウトされる側の家族や親たちのメッセージや経験談がより響くという効果があるかもしれないと思いました。Safe School Programに参加したことがあるボランティアスタッフによると、訪問した学校で「家族や親せきにLGBTがいるか?」と尋ねると1/3の学生が手を挙げるそうです。しかし、現状としてはその1/3のほとんどの学生が家や学校で一度もLGBTのことを学んだことがないそうです。同性結婚が合法化された米国においてLGBTを囲む環境は良くなったように映ることもあると思いますが、LGBTに関する正しい知識や情報を知らない層がいることが実状のようです。この団体は団体の特徴故に参加メンバーの年齢が他団体よりも高い傾向がありました。若者目線の意見を求められた際、私は学校訪問だけでなく若者の利用率の高いSNSやYouTubeを駆使して、LGBTの家族や親目線でのカミングアウトストーリーをシェアしていくことを提案しました。彼らも本の出版やビデオ制作を検討していたとのことなので、PFLAGの今後のさらなる活動に目が離せません。(Kody)